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右脳人間は創造的?
右脳のみを鍛えることはできるか?

日本人の常識(?)、右脳と左脳の違いとは…

人間は脳の働き方から、「右脳人間」と「左脳人間」に分けられるという。
「右脳人間」は創造力に富んでいる。一方、「左脳人間」は経験重視の堅い人間…。
そんな説が巷に流布されていますが、本当のところはどうでしょうか?

そのことをお話しする前に、復習の意味で右脳と左脳の役割の違いをもう一度おさらいしておきましょう。 ⇒詳しくは右脳と左脳(脳の仕組み2)参照 
●左脳
 主に、言語の認識と言語的推理、計算と数理的推理、論理的思考などを司る。読む、書く、話す、計算するなどの学校の勉強で使うもののほとんどは左脳を使うとされる。

●右脳
 図形や映像の認識、空間認識、イメージの記憶、直感・ひらめき、全体的な情報処理などを司る。絵を描いたり、楽器を演奏したりするのは右脳の働きとされる。

ところで、あなたは右脳と左脳を別々に使うことができますか?

 右脳と左脳には役割の違いがあることは、少なくとも二十数年前から言われており、間違いではないでしょう。でも、右脳と左脳の間には「脳梁」という接続コードの束のようなものがたくさん張り巡らされており、両者は密接に交流しています。

 そもそも脳は、小学1年生でもできる単純な作業でさえ一部分だけを使うことはなく、様々な機能を持った他の部分と共同作業を行っているといいます。そのため、近年の脳科学では「右脳や左脳を別々に使ったり鍛えたりすることはできない」という考えが主流になっています。

 まあ、確かにいわれてみれば、そうかもしれませんね。たとえば、言語や論理は左脳の働きとされますが、左脳だけを使って理解しているのかどうか…。ちょっと試してみましょう。

 次の文を読んで、内容を理解してみてください。

@急な坂の並木道を登っていくと、その先に赤い屋根の家が見えてきた。
A五角形のすべての頂点を互いに直線で結ぶと、星の形ができる。


 上の文を理解しようとすれば、たいていの人は頭に何らかのイメージを描くのではないでしょうか。
 @なら「並木道」や「坂」、「赤い屋根」などのどれかの映像がぼんやりと頭に浮かぶはず…。
 また、Aなら「五角形」や「星」の形が無意識に頭に頭に浮かぶでしょう。

 言語や論理などは左脳の働きだとはいえ、まったくイメージの助けがなかったら、物事を素早く正確に了解することは難しいはずです。左脳を使うとき、イメージを司る右脳も同時に使っているからこそ、私たちのコミュニケーションは成り立つのです。

 逆のケースも考えてみましょう。電話で道順を説明する場合です。
 道順を伝えるには、頭の中に周囲の風景や地図を思い浮かべなければなりません。右脳の働きが重要になってくるわけですが、それを言葉で説明しようとすれば、左脳も使うことになります。つまり、右脳と左脳を同時に連携させて働かせなければ、相手にわかりやすく正確に伝えることはできないということです。

「右脳人間・左脳人間」の二元論はナンセンス

 地図がうまく描ける人は「右脳人間」といわれますが、では、地図を描くことが苦手なのに絵(デッサン)がうまい人は、いったい何人間でしょうか?(実際にそういう人を何人も知っています) 
 方向音痴で絵も下手なのに、ピアノが弾けて歌もうまい感覚派は、「右脳人間」ではないのでしょうか?
 
 世の中には、数学が得意なのに音楽や美術も得意な人とか、言語能力が極めて高いのに論理的思考が弱い人、理屈っぽいのに直観力がすぐれている人などがたくさんいます。「右脳人間」「左脳人間」という分類法がほとんど意味をなさないことがお分かりいただけたでしょうか。 

音楽や絵画だって左脳を使う…

 とはいえ、誰でも「音楽や絵画は右脳の仕事」と考えるのではないでしょうか。確かにそのとおりですが、でも、芸術的なことだって左脳をまったく使わないわけではありません。

 音楽は音階やリズム、五線譜の表記法から和音、作曲法に至るまで体系的かつ精緻な理論で構築されています。ある人に言わせると、音楽ほど数学に近い芸術はないとのこと。感覚だけで太刀打ちできる世界ではありません(逆に数学は、右脳的直感力なしでは高いレベルに進めません)。

 次に絵画ですが、これも光と影による立体の表現技術や、透視図法、黄金分割、色彩理論など、かなり左脳的な部分が入ってきます。また、宗教的、文学的な題材を表現した絵画では、主題そのものの哲学的な考察が作品の評価に関係したりします。

 絵画と隣接するデザインの世界も同様です。分野ごとのデザイン理論や広告理論、マーケティングなどを理解せず、センスだけで立ち向かうことはプロの仕事では不可能です。

創造的活動は右脳ではなく前頭葉を使う

 右脳と左脳はそれぞれの役割を担いながら協力して事物の認識や把握、理解、分析などに当たっています。「右脳と左脳のどちらの働きがよいか」ではなく、「右脳と左脳をどれだけ関連付けて働かせることができるか」が大切なのです。

 そして、右脳と左脳を有機的に結びつけて、それを創造的な分野に生かすためには、前頭葉(前頭前野)の働きが重要になってきます。

 前頭葉は思考や創造性を担う脳の最高中枢と考えられ、生きていくための意欲や、情動に基づく記憶、実行機能などをつかさどっています。脳の司令塔―前頭葉の役割(脳の仕組み3)参照

 脳の司令塔ともいうべき前頭前野を鍛えることこそ、総合的な知性を高め、創造力を伸ばすことにつながるのです。右脳=イメージを鍛えることも、前頭葉を含む全脳的なトレーニングの中で行うのが最も効果でしょう。

 なお、仕事や日常生活でほとんど左脳中心に生きている方は、音楽(音楽鑑賞、楽器、カラオケなど)や絵画(美術鑑賞、イラスト、スケッチなど)、写真、手芸、工作などの趣味を持つとよいでしょう。「前頭葉を鍛えるのだ!」などと気張らず、楽しむことが大切です。(管理人の経験によれば、どんな趣味でも直接、仕事に役立たない場合でも、いつか何らかの形でプラスに働いてきます)
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