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囲碁は世界最高の頭脳ゲーム

世界に広がる碁と、日本の囲碁界の低迷

囲碁
 かつて、囲碁は幅広い世代に打たれ、競技人口は公称1千万人といわれていました。その頃の囲碁は「日本の誇るべき文化」であり、囲碁という「高尚な趣味」を楽しむ人には、尊敬のまなざしが向けられたものです。

 しかし、昭和の終わり頃から囲碁ファンの高齢化が進み、いつの間にか囲碁には、「じじぃ臭い趣味」などという芳しくないイメージがついて回るようになりました。
 皮肉なことに、日本の囲碁人口の減少と反比例するかのように、欧米や東南アジア、中南米などの非漢字文化圏に囲碁は急速に広まっていきました。世界では、「古今東西で最高の頭脳ゲーム」と賛美されるのに、国内では「高齢者の手なぐさみ」扱いです。

 また、囲碁人口の減少に追い討ちをかけるように、プロの世界でも日本は中国、韓国に追いつき追い越され、近年は国際棋戦で日本の棋士(外国籍も含む)が優勝することはほとんどなくなりました。古くからの囲碁ファンは心の奥底で泣いています。

 ところが、少年ジャンプに連載された囲碁漫画「ヒカルの碁」が、予想に反して(?)同誌の看板になるほどに人気を集めるにいたって、状況は徐々に変化してきました。
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碁と「ヒカルの碁」世代

 ヒカルの碁がアニメ化され、テレビで放映されるや否や、碁界にはヒカルの碁旋風が巻き起こりました。それまでの囲碁ファンとは異質の「ヒカルの碁世代」親子が、あちこちのイベントに集まる「うれしい異変」は、囲碁関係者にとっては記憶に新しいところです。
 漫画やテレビでヒカルの碁を見た子供たちは、何の偏見もなく、碁を「カッコいい」と思ったようです。以前は父親が教えるものと相場が決まっていた碁は、親が知らないのに子供が打つという時代を迎えたのです。

 さて、碁を始めてみたはいいけど、さっぱり強くならず碁から遠ざかってしまった、というような人が少なくないのは、今も昔も変わりません。
 碁の唯一の欠点は、そのとっつきにくさにあります。ある程度までいけば面白くなるのですが、最初がどうもよくわからず、面白いと感じない。そんな状態であきらめてしまう人が実に多いのです。

 それでも、純真無垢で好奇心と適応力のある子供たちは、碁を打つ環境さえ与えれば、放っておいてもすぐに碁が打てるようになります。
 しかし、「碁は頭のいい人が強くなる」と思い込んでいる大人たちは、一人でこっそり勉強して強くなろうとして、やがて挫折してしまう傾向があります。そうならない処方箋をお教えしましょう.

碁の上達で一番大切なものは環境

 碁は特に初めが肝心で、できればいっしょに始める仲間がいることが重要です。
 それから、継続してていねいに教えてくれる人がいることも、碁が打てるようになるために必要なことです。
 碁好きな人は人に教えたがる傾向がありますから、身近に5級以上の人がいたら遠慮せずに声をかけてみたらどうでしょうか。教える人がもっと弱い人でも、入門レベルなら大丈夫ですが、ある程度強くなってからでも教わるならやはり有段者です。ずっと先の話ですが、初段が射程圏内に入ったら、アマ三段以上の人に教わるのがよいでしょう。

 碁を覚え、強くなる第一の条件は、環境です。碁好きな人、強い人、そして同じくらいの棋力のライバルが身近にどれだけいるかで、上達スピードが決まるといえます。
 人によってはそのような環境を作ることができないかもしれません。その場合は、お金はかかりますが囲碁教室を探すことです。
入門者(30級)はまず7級を目指しましょう。7級までいけば、碁をやめることはまずなくなるからです。碁にのめりこみ始めるのもその頃からです。2〜3ヶ月で到達するか、2〜3年かかるか、それは囲碁環境対局数勉強量が鍵を握ります。有段者になるまでは、碁の才能があるかどうかはあまり重要ではありません。

実戦不足を補う囲碁対局ソフト

 囲碁の上達では環境が最も大切と述べましたが、それはさまざまな人との実戦対局が多くできるという意味が一番大きいのです。初級、中級レベルでは特に実戦経験が大切です。勉強だけで碁が強くなることはありえません。
 実戦では、自分より強い人との対局が重要です。ほんの少し強い人から、たくさん石を置かなければならない人まで、どちらも大切です。負けるのを嫌がっていては、碁は強くなりません。負けた悔しさは「努力する楽しみ」にエネルギー変換しましょう。

 そうはいっても、限られた人としか碁が打てない環境の人は少なくないでしょう。棋力が初段近くになれば碁会所で相手を探すこともできますが、初・中級者が楽しめる碁会所は少ないのが現実。そこで注目されるのが、最近急に強くなったとうわさの「囲碁対局ソフト」です。
 パソコンソフトはちょっと前までは「初段」とか「世界最強」を標榜する商品でも、せいぜい3級程度の実力しか発揮できないのが普通でした。おびただしい量の定石、布石、手筋のパターンを詰め込んでいるのに、戦いに弱く、時おり中級以下の人が打つようなチグハグな手を連発するのです。
 ところが、これまでの知識偏重のプログラムとは根本から異なる革命的な思考エンジンが登場したのです。それは「モンテカルロ法」という確率論的手法を取り入れたソフトです。

 この新しい囲碁対局ソフトは戦いに強く、人間臭い棋風を持っていますから、初段前後の方にはよきライバルとして、また中級以下の方にとっては碁を教えてくれる対局相手として存分に活用できるでしょう。対局不足を補って上達するコンピューターソフトが、囲碁の世界にもやっと登場したというわけです。

“モンテカルロ法”を応用した思考エンジンとは?

 これまでの囲碁ソフト開発者は、プログラマーとして一流であるばかりでなく、碁も相当に強くなければなりませんでした。ところが、2006年にフランスのプログラム「CrazyStone」がコンピューター・オリンピアードで9路盤部門に優勝してから事情は一変しました。碁が非常に弱いプログラマーでも、世界最強のソフトが作れる可能性が生まれたのです。

 モンテカルロ法は、もともとは中性子の物質中を動き回る様子を探るために考案されたもの。コンピューターで発生させた乱数によってシミュレーションを行い、確率論的に事象を解析する手法ですが、これを囲碁プログラムに導入することによって、対局ソフトの棋力は飛躍的に向上したのです。

 新思考エンジンは、確率論的な近似値ですから、従来ソフトのような着手の乱れやブレがありません。従来の「難解な定石を知っている一方で、意味不明の緩着を連発する」というようなチグハグさがなくなっただけでも、かなり強くなっています。
 モンテカルロ法によってコンピューターは、戦いに強い実戦的な棋風を獲得しました。ときには大石を猛然と取りにくる人間臭さ(?)も持ち合わせています。しかも着手に柔軟性があります。これなら、今まで対局ソフトを買うのを控えていた人でも欲しくなるに違いありません。
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